オーガズムのサインは「私、イッてる!」という強烈な快感

セックスに関する悩みに触れていて思い知らされるのは、「膣でイケない」と悩んでいる女性がいかに多いかということです。男性にとっては意外でしょうか?「だって昨夜も彼女は俺のペニスでイッたよ」という人には残念なことですが、調査の結果、少なくない女性が”イッたふり”をしたことがあると答えています。

そこには、がんばって愛撫してくれている男性への気遣いが隠れていることも多いため、女性の演技を頭ごなしに責めるのは酷だと思わないこともありません。けれど、これが男女のあいだに横たわる溝を、ますます深くする行為であることは、否めないのです。いつまでもウソをついていては、本当に気持ちのいいセックスにたどり着くのは永遠に不可能なまま。

ふたりで協力して積極的にオーガズムを目指し、充実したセックスライフを作り上げていくためには、女性は演技をやめ、男性は女性のオーガズムをきちんと理解する必要があります。男性のオーガズムは、誰の目にも一目瞭然です。精液が放出されたら、すなわちイッた証拠。それとは対照的に、女性のオーガズムにはわかりやすい”証拠”のようなものがありません。膣内が痙攣したり、顔が紅潮したりといった現象はありますが、男性のそれと比べると判断が難しいところです。

男性にとっては女性のオーガズムはとてもわかりにくいものだと思いますが、実は女性自身にもよくわかっていない場合が多いのです。「膣でイクってどんな感じ?」「イッているのかどうかよくわからない」― わからないからこそ、膣でのオーガズムというものは、それはそれは魅力的で、想像を絶するものだと考えられているようです。

自分が体験しているのがオーガズムなのかどうか、わからないという女性にとっては残念な事実をこれから述べます。判断できないということは、イッたことがないということです。なぜ、これほどまできっぱり断言できるかというと、オーガズムを一度でも体験すれば、「これがイクってことなんだ!」とはっきりわかるからです。それは、疑いようもない強烈な快感なのです。

産婦人科の現場では、妊娠中の女性から、これと似たような質間が寄せられます。妊婦さんたちは「陣痛ってどのくらい痛いんですか?」「なんとなく痛いときもあるんですけど、これって陣痛なの?」と不安を口にします。聞くところによると陣痛というのはものすごく痛いらしい。誰もが口をそろえて、息もできないほどの痛みだという。でも、それがどれほどのレベルなのかは想像もつかない。

そんな彼女たちの疑問に対して、私はいつもこう答えることにしています。「実際に陣痛が始まったら、痛すぎて『あ、これが陣痛なんだ!』ってイヤでもわかりますよ」

オーガズムも、これと同じことです。性的快感が最高潮に達したときに、身体は”我を忘れてしまいそうな気持ちよさ”につつまれます。その快感が性器だけでなく、足先や指先にまで広がり、めくるめく快感のシャワーを浴びているような感覚に全身が震えるのがオーガズム。「私、イッてるのかなあ?」というあいまいなものではなく、自分で自分をコントロールできなくなるほどのエクスタシーで、「私、いまイッてる」ことを身体がはっきり教えてくれます。例えるならそれは、ヘレン・ケラーが手に水を浴びて「Water!」と悟ったときのような感じでしょうか。理屈を超えた理解が、そこにはあるのです。

ここで女性のオーガズムについて復習しましよう。セックスにおける女性の快感は、①欲情する段階。②イクまでの助走段階。③オーガズムに達する段階、と順序を追って移り変わります。①は「セックスがしたい」と心と身体に欲望の火が灯ること。②は濡れる、クリトリスが膨らむ、膣口が開くなど、ペニスを受け入れるための準備が整うこと。この2段階を踏まない限り、③は絶対に訪れません。

オーガズムに達した女性の身体は、子宮と腟、肛門の周りの筋肉がヒクヒクと脈打つように震え、心拍数が増えたり、手足がピーンと伸びたりします。こうした女性ならではの特徴はありますが、不思議なことに、頭で感じているオーガズムの感覚は男女とも同じといわれています。それは「脳がしびれる感じ」「頭が真っ白になって別世界に行っている感じ」「トランス状態」。つまり、言葉に尽くしがたい快感だということです。男女の別なく心身に深い感動を残す、すばらしい体験で、パートナーとふたりでこの瞬間を共有できれば、お互いへの愛情を深め、絆を強くすることにもつながります。
 

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です