女性の身における最大の謎、Gスポットの正体

女性の身体には快感のスイッチがあると思っていませんか?どんな女性でもその場所を刺激されると、またたく間に感じ出して身悶えし、ほどなくオーガズムに達してしまう場所のことです。そして、スポットが、そんな秘密のスイッチに当たるという思い込みは、昨今とても根強いように見受けられます。

けれど、スポットがどこにあって、どのようなものなのかを問われたときに、きちんと答えられる人は、男女ともほとんどいないように思われます。ここで一度、スポットとはいったい何なのかを、あらためて考え、本当に快感のスイッチなのかどうかを検証してみましよう。

Gスポットを発見したのは、1950年代に活躍したドイツ人医師、エルンスト・グレフェンベルクでした。その功績をたたえ、1981年になって彼のイニシャルを冠して、その名がつけられたのが始まりです。人類の長い歴史で考えると、Gスポットの存在に気づいたのは、ごく最近のことといえますね。以来、科学的、医学的な観点から多くの研究がなされ、議論が交わされてきました。そして、それは現在まで続きます。スポットの正体はいまでも完全に明らかにはなっていないのです。

ここでは、現在の段階で最も有力と思われる説を紹介しましよう。それは、Gスポットとは、クリトリスの一部であるというものです。こういわれても、ピンと来ない人が多いかもしれませんね。「スポットは膣の内側にあるんじゃないの?」「クリトリスと膣は離れた場所にあるのに?」「あんなに小さなクリトリスに、どうしてスポットが存在するというの?」― 頭のなかにたくさんのクエスチョンマークが浮かんだとしても、それは仕方のないことでしょう。

Gスポットを知る前に、まずクリトリスについて理解する必要があります(図1)。

私たちの目に見えているのは、クリトリスのほんの一部、陰核亀頭と呼ばれる部分です。その名のとおり、男性の身体でいうとペニスに相当します。ペニスとクリトリスは、そもそも発生学的に同じ器官。受精卵からヒトになるときに、男性になるか女性になるかによって別々の器官へと分かれたものなので、その構造や、刺激に対する反応はとてもよく似ています。


男性が性的興奮を得るとペニスは固くなります。誰もが知っている、勃起といわれる現象ですが、これは海綿体に血液が流れ込むことで起きます。ペニスには亀頭海綿体、陰茎海綿体、尿道海綿体の3種類の海綿体があり(図2)、それぞれ球海綿体筋という筋肉につつまれています(図3)。

海綿体とはスポンジ状の組織で、ふだんはスカスカの状態ですが、ペニスを手で擦ったり女性の膣内に挿入したりして刺激を受けると、血液がドッと流れ込むため大きく膨らみます。さらに、海綿体は周囲を神経でつつまれているので、その神経が刺激されることになり、男性は快感を得られるのです。

女性のクリトリスにも、この海綿体が存在します。クリトリスの先端、陰核亀頭を刺激すると、ぶくっとかわいらしく膨らみます。これは男性のペニスと同様に、海綿体に血液が流れ込んで充血したためです。海綿体の周りに神経が走っているのもペニスと同じですが、クリトリスはこの小さな膨らみのなかに、非常に多くの神経終末が密集しています。その数だけを見れば、ペニスの亀頭と同じ程度ですが、ペニスのほうがサイズが大きいため、密度が低くなります。クリトリスがとても敏感な器官とされ、ほんのわずかな刺激だけでもオーガズムに達してしまう人がいるのも、納得です。

さらに、(図1)にあるように、陰核亀頭を頂点として2本の長い脚のようなものが伸びて、膣をはさみ込むようにしています。ここにも海綿体があるため、陰核亀頭が刺激されると連動して充血し、太さを増します。これによって膣がギュッと締めつけられますが、クリトリスでイクと膣も気持ちよくなる人が多いのは、このためです。

クリトリスには、快感を誘発する以外、特に役割がありません。けれど、こう考えることはできます ― クリトリスで気持ちよくなるからこそ、女性は積極的にセックスをしたいと思い、セックスをすることで子どもができます。つまり、クリトリスにこれだけの神経があるのは、種を残すためのプログラミングではないでしようか。ここまでで、クリトリスは海綿体の塊のようなものであることがわかりました。

Gスポットに話を戻しましよう。先述したとおり、実はこのスポットもクリトリスの一部であるという説が有力です。刺激されることで海綿体が充血して膨らみ、周りの神経が反応して気持ちよくなる ―  これが、Gスポットで快感を得られる仕組みです。

つまり、Gスポットは膣の内側にはありません。膣の外側ではありますが、ほとんど近接しているため、ここを刺激するには、膣のなかに指やペニスを挿入してアプローチするしかありません。位置の目安は、膣ロと子宮のちょうど中間ぐらいとされています。膣の長さは平均8cm、長い人でも10cmとされていますので、中指を挿入し、第一関節を軽く曲げたあたりだと考えるといいでしょう。

最初の疑問を思い出してください。はたしてGスポットは、快感のスイッチなのでしょうか?Gスポットはクリトリスの一部であるだけに、これといった機能を持ちません。気持ちよくなるためだけに、存在する器官です。そう考えると”快感のスイッチ”とう表現は、Gスポットを言い表すものとして案外ふさわしいのかもしれません。しかし、そもそもオーガズムというのは、そう簡単に起きるものではありません。

強い刺激を与えようと膣壁をゴシゴシ擦るなんて論外!女性はやさしい愛撫でないとオーガズムはおろか、感じることもできません。乱暴な愛撫はいますぐやめて、指の腹でそっとノックするように触れてください。大事なのは、女性が感じてきても単調なリズムを崩さないことです。せつかく気持ちよくなったのにリズムを変えられてしまっては、オーガズムは遠ざかります。淡々とした愛撫でスポットを刺激すると、女性はひとりでに昇りつめていきます。

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