Gスポットは、快感のスイッチであると同時に、”潮吹き”を起こすボタンのようにも思われがちです。男性のなかにはアップロードされたアダルトビデオなどで、オーガズムに達した女性の性器から液体がピシャーツと勢いよく吹き出る映像を目にしたことがある人もいるでしょう。衝撃的な映像ですよね。しかし、ここにはふたつの大きな誤解が潜んでいます。
ひとつめは、噴水のようにして放出されているのは”潮”ではなく、尿の一種だということです。その証拠に、この液体は尿道から噴き出ています。男性の目にはまるで膣から出ているように見えるのでしょうが、両者はとても近い場所に位置しているので、見間違えているだけです。
この潮=尿の一種を吹かせる方法として紹介されているのは、ほとんどがGスポットを1本、もしくは2本の指でゴシゴシと激しく擦るというテクニックです。すでに説明したとおり、Gスポットはクリトリスの一部で膣に近接していますが、同時に、これは尿道のほど近くでもあるのです。
膣の内側からGスポットを乱暴に刺激すると、尿道、または膀胱の下部分までもが、むやみに刺激されることになります。その結果として、尿が異常な吹き出し方をしているにすぎないということです。そして、ここに第二の誤解があります。無理やり尿を出させられるのは、オーガズムとはほど遠いもので、それどころか快感ですらありません。
ただ、”潮”と呼ばれる液体が分泌されることは、事実です。本当の潮というのは、実はもっと地味なものです。指などで刺激しているときにピシャッと少量の液体が漏れる程度で、女性自身に「いま潮を吹いた」という自覚がない場合もあります。そして、現在の性科学の世界では、この液体は膣内にある”女性前立腺”というところから出ているという説が最も有力です。別名”スキーン腺”と呼ばれることもありますが、当サイトでは女性前立腺という名称で説明します。
長いあいだ、前立腺は男性特有の器官と思われてきました。その役割は、精液に運動エネルギーを与える前立腺液を分泌すること、そして精液を勢いよく飛び出させることです。となると、そもそも女性には必要がない器官だということがわかります。では、なぜ女性にも前立腺が存在するのでしようか?大きな謎ではありますが、男性の身体にも子宮の名残があるくらいですから、人体にはまだまだ未知の領域がたくさんあるのです。
膣内を愛撫すると、この女性前立腺も同時に刺激されることになります。そのときに分泌される液体、すなわち前立腺液が、潮の正体というわけです。尿道から吹き出る”潮”との共通点があるとすれば、この前立腺液を分泌することも、女性にとっては気持ちいいことでも何でもないということです。解剖学の権威、橋本一成先生は独自の調査の結果、女性前立腺から潮吹きをする女性の割合は20%未
満としています。
このパーセンテージを高いと見るか低いと見るかは人それぞれだと思いますが、潮を吹かせたい一心で、必要以上にハードな刺激を繰り返している男性がいるとしたら、即刻やめてほしいと思います。膣内を力を込めて擦られても、女性にとっては痛いだけ!信頼しあったパートナーであれば、女性が痛くて顔をしかめているのか、快感に顔をゆがめているのか、判断がつくはずです。女性につらい思いをさせてまで潮を吹かせる行為が、ふたりのセックスにとって本当に必要なものなのか、今一度、考えてみてください。